移植外科とは

当院の移植外科は、臓器移植を受けた患者さんの術後管理・フォローアップを担う診療分野です。腎臓移植(腎移植)はその代表的な領域であり、腎不全によって透析を必要とされている方や近い将来に透析が見込まれる方を対象に行われます。
腎移植には、ご家族など健康なドナーから腎臓の提供を受ける「生体腎移植」と、亡くなられた方から提供を受ける「献腎移植」の2種類があります。日本では献腎移植を受けられた方の平均待機期間が15年近くに及んでおり、生体腎移植の占める割合が多くなっています。
移植が成功すると、週3回・1回あたり4時間以上を要する血液透析や、時間も手間もかかる腹膜透析を必要としなくなります。また食事や飲水の制限も大幅に緩和されるなど、生活の質の大きな向上が期待できます。フルタイムでの就労がしやすくなり、透析中には難しかった妊娠・出産も可能になるなど、人生の選択肢が大きく広がることも腎移植の大きなメリットです。
一方で、移植後は免疫抑制剤の継続服用に加え、生活習慣病や感染症などの管理を長期にわたって続ける必要があります。しかし、移植後の管理に対応できる医療機関は限られており、これまでは移植を受けた大きな病院へ長期間通院することが一般的でした。てらさか内科・外科クリニックではこうした課題に応えるため、腎移植後診療を診療の大きな柱の一つとしています。移植を受けた患者さんが移植施設と連携しながら、より身近な医療機関でも安心して長期的なフォローを受けられるよう、その先駆けとなる診療体制を作りました。
当院の移植外科の特徴
院長が2つの認定資格を保有
院長は、外科医師として20年以上のキャリアを持ち、そのうち13年間は腎臓移植の診療を専門としてきました。日本移植学会認定 移植認定医、日本臨床腎移植学会認定 腎移植専門医の資格を有しており、移植手術はもちろん、術後の免疫抑制療法・感染症管理・生活習慣病治療など、移植医療に関わる総合的な診療に長けています。
また、副院長は日本内科学会認定 総合内科専門医・日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医として、糖尿病をはじめとする生活習慣病の管理を専門としています。腎移植に精通した外科医と、内科・糖尿病の専門医が連携して診療にあたることで、移植後の患者さんのトータルサポートが可能な体制を整えています。
24時間対応の電話相談体制
免疫抑制剤の影響を受けている移植後の患者さんは、通常では問題にならないウイルスや細菌による感染症など、急を要する症状が起こりやすい状況にあります。「いつもと違う」と感じたとき、すぐに相談できる窓口があることは、移植後の患者さんにとって大きな安心につながります。当院では診療時間外も電話でのご相談に対応しており、症状の緊急度の判断や必要に応じた受診先のご案内なども行っています。
移植施設との連携
当院は、手術を担当した移植施設との情報共有・連絡体制を大切にしています。移植後のフォローアップは、日々の通院管理だけで完結するものではなく、移植施設の専門チームとの継続的な連携があってこそ成り立つものです。患者さんの状態に変化があった場合や、より高度な対応が必要と判断した場合には、移植施設と速やかに情報を共有し、適切なタイミングで受診につなげる体制を整えています。移植施設に通い続けなくても、相談しやすいクリニックで安心して経過観察を受けていただけるよう、施設間の橋渡しとしての役割も重視しています。
当クリニックが対応できる主なフォローアップ内容
免疫抑制剤の管理
腎移植後は、移植した腎臓に対する拒絶反応を抑えるため、終生にわたり免疫抑制剤を服用する必要があります。免疫抑制剤は種類の選択や用量の調整が非常に重要で、不足すれば拒絶反応のリスクが高まり、過剰になると感染症への抵抗力が低下します。院長は長年にわたり腎移植診療に携わってきた経験を持つため、患者さん一人ひとりの状態に応じた細やかな調整が可能です。血中濃度の確認を含む定期的な検査をもとに、副作用の早期把握にも努めています。
生活習慣病の管理
腎不全の主な原因のひとつが糖尿病であり、高血圧・脂質異常症・高尿酸血症なども移植した腎臓にダメージを与えてしまいます。免疫抑制剤を正しく服用していても、生活習慣病の管理が不十分であれば再び腎機能が低下するリスクがあるため、内科的なフォローは移植後の管理においても欠かせません。副院長は糖尿病専門医として生活習慣病全般の診療を担っており、食事管理については常勤の管理栄養士とも連携しながらサポートします。
感染症への対応
免疫抑制剤を服用している移植後の患者さんは、健常な方であれば問題にならないウイルスや細菌によっても感染症を発症しやすい状態にあります。こうした感染症は移植医療に精通していない医師にとっては診断が難しいケースも多く、経験のある医師が対応にあたることが重要です。腎移植を専門とする医療機関として、症状の性質や経緯を踏まえた正しい判断を行います。また、免疫抑制剤の影響で、一部のがんの罹患リスクが高まったり、進行が速まったりする可能性があるといわれています。これに対応すべく、定期的ながん検診のスケジュール管理も含めて総合的にサポートいたします。
各種専門スタッフとの連携
移植後の生活を安定させるためには、医師だけでなく、栄養管理・服薬指導・生活指導など多職種によるサポートが欠かせません。当院には移植コーディネーターと2名の管理栄養士が在籍しており、医師と連携しながら、患者さんが日常の中で無理なく管理を続けられるようサポートします。
移植コーディネーター
移植コーディネーターは、患者さんやご家族と医師・移植施設とをつなぐ役割を担う専門スタッフです。診察の場では聞きそびれてしまったことや、服薬・通院・仕事や家庭での生活に関する不安など、気になることを気軽にご相談いただけます。また、手術を担当した移植施設との連絡や情報共有の調整も行い、地域のクリニックと移植施設の両方で切れ目のないフォローを受けられるようサポートしています。これから腎移植を検討されている方や、腎臓を提供されたドナーの方からのご相談にも対応しています。
管理栄養士
常勤の管理栄養士2名が、生活スタイルに合わせた食事内容の見直しや栄養バランスの調整について、検査結果を踏まえた具体的なアドバイスを行います。移植した腎臓を守るうえで大切な塩分・たんぱく質の調整や、免疫抑制剤の影響で起こりやすい血糖・脂質の変化への対策も、日々の食事から一緒に考えていきます。
正確な診断・
診療のための精密な検査

当院は、腎移植後の診療に必要十分な検査を院内で迅速に行える体制を整えています。免疫抑制剤の血中濃度測定や腎機能をはじめ、移植後の管理に必要な各種血液検査・尿検査のみならず、必要に応じて超音波検査などの画像検査も可能です。多くの検査結果をその日のうちに確認できるため、患者さんの状態をその場で評価し、結果をご説明したうえで、薬の調整や追加検査など、次の診療につなげることができます。
ドナーの方へ

腎臓を提供されたドナーの方も、提供後の健康を長く守るために定期的なフォローが大切です。当院では、残された腎臓の機能や尿蛋白、血圧、体重、血糖・脂質などを継続的に確認し、将来の腎機能低下や生活習慣病の予防につなげています。
高血圧や糖尿病などの病気がある方はもちろん、自覚症状のない方にも年に1回程度の受診をおすすめしています。腎臓を提供した後も安心して生活を続けていただけるよう、長期にわたって健康管理をサポートします。
移植施設との連携
腎移植後の健やかな生活を維持するために

私は外科医としての大半を、腎移植専門として勤務してきました。腎移植は今や特殊な医療ではなく、多くの方が腎代替療法の一つとして選択できるものとなっています。腎移植において手術はスタートラインです。移植腎を可能な限り長持ちさせ、健やかな生活を維持するためにはその後の管理が非常に大切で、そのためには定期的な通院が欠かせません。これまでは移植を受けた施設へ通院することが当たり前でしたが、患者さんが増え続けることによる診察待ち時間の長さや、十分なコミュニケーションが取れなくなるなどの弊害も生じていました。
それを解消するため、全国でもまだ珍しい腎移植のフォローアップを柱としたクリニックの開設を決意しました。小規模なクリニックならではの、小回りの効いたきめ細かい診療を行ってまいります。皆様の気軽な相談相手になれれば幸いです。

